マザーボードがIntel Z68なので、特徴でもある「ISRT」を設定してみました。
SRTってなんだ?
IntelのZ68というチップセットに搭載された「インテル® スマート・レスポンス・テクノロジー(Intel® SRT)」。
SSDをHDDのキャッシュとして利用して、SSDの高速アクセスとHDDの大容量を両立させる機能です。
「Intel Smart Response Technology」とか「Intel SRT」とか「ISRT」とかとか「SRT」とか「S.R.T.」とか呼ばれているようです。
「インテル® ラピッド・ストレージ・テクノロジー(Intel® RST)」というソフトウェア(と言うか、Intelのチップセット用のドライバとマネージャのセットというところでしょうか)で設定する事が出来ます。
こちらの略語が「Intel RST」とか「IRST」とか「RST」とかなので、「SRTを使うためにRSTを入れて、SRTを設定したけど、RSTのバージョンはいくつが最新だっけ」とかややこしい感じです。
SRTを使うための設定もややこしい
さてこの「SRT」、設定するためには、いくつかクセがあります。
※現在、最新のマザー(特にIntel CPUを採用しているもの)ではBIOS(;Basic Input-Output System)という仕組みでは無く、UEFI(;Unified Extensible Firmware Interface)という仕組みを採用しています。この記事で「UEFI」と書かれているのは、古い機種でいうBIOSと同じと思って差支えありません。 |
- UEFI設定画面でSATAのモードを「RAIDモード」にする必要がある。
Windows7をインストールしたときに、SATAモードが「IDEモード」や「AHCIモード」だった場合、UEFIの設定でRAIDモードに切り替えても、ブルースクリーン(STOPエラー)になってしまい起動が出来ません。
RAIDモードにした状態でWindows7を再インストールする必要があります。→再インストールしなくて済む方法がありました。
UEFI画面でSATAモードを変更する前にRAID用のドライバを有効にする必要があります。
- SRTは「インテル ラピッド・ストレージ・テクノロジー・ドライバー(IRST)」で有効にする。
「Z68チップセットの機能」なので、自分はてっきりUEFIに「SRT設定」とかいう項目があるのだと思っていましたが、実際にはOS上(というかRST)で設定するものでした。
なので、最新版のIRSTをインストールしてから設定します。ちゃんと起動時から効果が出ます。
普通にWindows7を利用している人は、たとえ自作PCの人でもRAIDを組んでいない場合、RAIDモードにして使っているとは思えないので、「RAIDモードにした状態でWindows7をインストール」というのは結構敷居が高く感じます。
→OSの再インストールをしないでRAIDモードに変更する方法はあるようです。その内、ネタにしようとは思っています。 |
→[2012/06/10追記]OSの再インストール無しで、RAIDモードに切り替えてSRTを有効にしてみました! |
→[2012/09/30追記]インテルのサイトの選択するところとかダウンロードするファイル名とかが変わってきたので、RSTのインストールについて書き直しました。 |
実際に設定してみる
「ASRock Z68 Pro3」での設定方法です。違うマザーの場合は、適宜読み替えてください。 |
全体的な手順としては…、
- SSDを外し、Windows7をインストールするHDDだけ繋いだ状態で、PCを起動します。
– インストールするHDD以外のドライブを外す必要はありませんが、インストールするドライブを間違えないように外した方が安全です。
– システムドライブよりも若いポートにドライブを繋いでいると、Windows7がシステム予約パーティション(WindowsBootMenu?)を勝手に作ってしまうので注意。 - 起動時に[F2]を押して、UEFI設定画面に入ります。(マザーによって[F2]じゃないかも知れません)
- 「Advanced」メニューから「Storage Configuration」に入ります。
- 「SATA Mode」から「RAID Mode」を選びます。
- 「Exit」メニューから「Save Changes and Exit」(変更を保存して終了)を選びます。
- Windows 7をHDDに普通にインストールします。
- 最新の「インテル® ラピッド・ストレージ・テクノロジー・ドライバー(Intel® RST)」をインストールします。(→インストール手順など)
- シャットダウンをした後、HDDのキャッシュに設定する「SSD」をPC本体に組み込んで、PCの電源を入れます。
- Windows7が起動されるのを待ちます。(RAID Modeを使用していますが、RAIDメニューに入る必要はありません。)
- タスクバーの通知領域(タスクトレイ)のアイコン、スタートメニューのIntelフォルダ内から「インテル ラピッド・ストレージ・テクノロジー」を開きます。(UAC確認が来るので、許可を選択します)
- チップセットが対応していて、RAIDモードになっていて、HDDにシステムがインストールされていて、キャッシュに使用出来るSSDが接続されている等、条件を満たしている場合、「ステータス」の画面に「高速」という項目が表示されます。
- 「高速化の有効」をクリックすると、設定画面が表示されます。
- キャッシュに使用するSSDを選び、割り当てる容量(18.6GBか64GBまでの全容量。余りは普通に使えます。)や、高速モードを選択します。お好みですが、SRTを有効にするなら「64GBまでの全容量」「最速モード」にするのが良いと思います。
-通常は書き込みもキャッシュする「最速モード」がお勧めです。強制電源断をした場合などにデータが壊れるリスクはあります。
-安全性を取るなら書き込みはキャッシュしない「拡張モード」を選択します。
-個人的には安全性を取りたいなら、SRTを使わず、HDDのみの運用が良いと思います。
-よって、「最速モード」を選びます。
- [OK]をクリックすると、設定完了。SSDの中身は全部消えるので注意。
SRTを設定すると、キャッシュに指定したSSDの中身は全部消るので注意。
その後、パーティションを追加して普通に使えます。(今後も解除や設定し直しをすることを考えるとキャッシュ専用SSDにするのが良さそう。)
さて、効果のほどは?
今回メインPCを新調したものの、HDDは前から使っているWestanDigitalの「WD10EADS」。
やや前の世代のHDDである事と、WindowsXPで使用するためにアライメント調整をしてしまっているためか、今ひとつパフォーマンスが…。
他の人の参考にはならないと思いますが、CrystalDiskMarkの結果を。
実際のところ、キャッシュの利き具合というのはファイルの使用状況に寄ってしまうため、ベンチマークだけでは分からないものの、起動時間は速くなった模様。(計測したメモを無くしてしまったため、時間不明)
ところでSATAをRAIDモードにした場合、起動時にRAID BIOSの認識待ちの画面が10秒くらい出て起動が遅くなると思い込んでいたのですが、今のRAID BIOSっていうのはそこまで待たないようですね。(RAID BIOSが長かったんじゃなくて、SCSIの認識時間が長かったのと勘違いしているかも知れない)
SRTを設定した後はRAID BIOSの画面は1秒くらいで通過するようになったので、気にならない程度でした。というわけでPOST画面から通算しても起動時間の短縮になりました。
RAID BIOSの待ち時間は、RAIDが追加出来ない状態になると短くなるようです。60GBの容量全てをキャッシュにした場合は1秒程度でスルーしますが、120GBの容量の内、60GBをキャッシュ、残りをデータドライブとした場合、1~2秒の待ち時間はあります。今回はその辺を込みで考えても時間短縮になりました。(起動時間:HDDのみ約56秒→SRT設定時約37秒)
では、今後もいざSRT?
とか何とか、「SRTにする」というタイトルで記事を書いているものの、自分は結果としてSSDの速度を活かすためにシステムドライブをSSD単体に変更してしまいました(^-^;
とにかく「SRTを設定する」という事をしてみたくてZ68のマザーを選んだので、とりあえず目的は果たしましたし…!Σ(゚ロ゚)o゙
Windows7は、ドキュメントやデスクトップなどのユーザーフォルダを簡単に変更(右クリック、プロパティ、場所タブから変更可能。)出来るので、起動ドライブをSSDにして高速な起動と、ユーザーフォルダはデータドライブとして大容量のHDDに、といいとこ取りが出来ます!Σ(゚ロ゚)o゙
出来ます…が、実際のところ、「結局、細かいデータをアクセスする時なんかにはHDDの遅さがネックになってしまっている」場面があったり、「Microsoft OfficeなんかがインストールフォルダにファイルがいっぱいでSSDの容量が危険」な事になったり。かと言って「インストール先フォルダをCドライブ以外にすると管理が大変に…!」と、中途半端な事になってしまいました。
やはりSSDの80GBとかいう容量はCドライブだけにするにしても厳しいです。
そういう「面倒さ」を考えると、やっぱりSRTの方が手軽な気がします…まあ、HDDを買い替えてから考えるとしましょう(^-^;
あとは、SRTのキャッシュに設定したSSDを解除しないまま他のPCに繋げたり、システムディスク等に転用しようとすると、領域確保が上手く出来なかったり、起動が正常に出来なくなります。(SSDの状態がRAIDキャッシュみたいな状態になっているためです)
ちゃんと、「RSTから高速化の無効をして」から取り外すか、「起動時のRAID BIOSの画面が出ている時に、[CTRL]+[I]を押してRAID設定メニューに入り、キャッシュ状態を解除して」から使うようにしましょう。(RAIDメニューからの解除とか、需要があればその内手順を書こうと思います)
→[2012/09/17]RAIDメニューからSRTのキャッシュ解除する手順を書きました。
まとめ
- HDD単体よりは起動が速くなる。(Windowsの起動も、よく使うソフトの起動も。)
- SSD単体利用よりは当然遅い。(SSDをシステムドライブに単体利用する方が当然速い。容量が少ないので管理とかが面倒だけど。)
- SSDの高速ランダムアクセスと、HDDの大容量が手軽に両立出来る。
- UEFIでRAIDモードにしてOSをインストールする必要がある、もしくはRAIDを有効にして再起動する必要がある。[追記](AHCI独自の恩恵が受けられない?)
- RAIDモードとは言え、本当のRAIDを組むわけでは無いので、気軽に解除・交換が出来る。
- Z68チップセットでしか使えないという優越感がある(結構重要。)※記事投稿現在です。
- 過剰に期待する物では無いけど、十分良いものだ。
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